top of page

ニホンミツバチとの10ヶ月 "Me and Bees" *里山シリーズ*

静岡県で「里山の暮らし」を営む庄子妙絵さん。ご主人「たっちゃん」やご近所さんたちとの日々の出来事をときどきコラムに綴ってくださることになりました。コラム第1回目は、裏庭に設置した蜂箱に住み始めた「ニホンミツバチ」についてです。


引っ越してきた5年前、古い我が家を直すのに来てくれた大工さんが、いくつか蜂箱を置いて行った。2年経っても3年経ってもいっこうにハチ達が入る気配がなく、私たちはあっちこっちと置く場所を変えてみたりしていた。


「ウチの環境、ハチさん達は好かないのかね〜。」とあきらめモード。


養蜂などそもそもムリだと思っていた私たちはそのまま蜂箱を放置し、そこから数年が経った。



2019年5月19日 新緑の季節


一斉に里山が芽吹きグングンと伸び始める。午前中いっぱい裏の草刈りをして帰ってきたたっちゃんが、「ミツバチが蜂箱に入ったっぽい」と。「うそ〜!見る見る!」と、私は裏の蜂箱が置いてある場所へ。


蜂箱の入り口を蜂が出たり入ったり。ミツバチをしっかり確認!

「ホントに入ってる!これは、西洋?ニホンミツバチ?ニホンミツバチだったらスゴいね。」


調べた結果、、、なんと!ニホンミツバチである事が判明!


そこから毎朝、私のしごとに蜂箱チェックが加わった。気になりすぎて、午前、午後とチェックする時も。


始めは、ちょっと怖いから蜂箱から離れて観察していたが、少しずつ距離が近づいていく。毎日見ていると色々な事が分かるようになる。働き蜂は夢中で飛び立ち、花粉をたくさん付けて戻って来る、一生懸命で私の存在に見向きもしない。


ハチ達はどうやら向いのマルベリーの木に向かって飛んでいるみたい。この時期、マルベリーの木には実が熟している時期。私も実を食べながらミツバチ達を探す。時には門番が私の方へ近づいて来て、「あ〜〜いま目が合ってる、私は怪しいものじゃないよ〜〜」と言う気持ちでそこにただ居させてもらう。


ニホンミツバチの性格は西洋ミツバチに比べると温厚だそう。ミツバチの社会は圧倒的な女性社会、てっぺんに君臨する女王バチを筆頭に、蜜集め、育児、お掃除などをこなす働き蜂も全てメス。オスはメスの採ってきたえさを食べ、働く事も無く繁殖のためだけにいるそう。ヒモやんヒモ〜!面白すぎるミツバチの社会!




6月18日 梅雨


蜂箱の入り口付近、数匹張り付いて羽を懸命に動かしている子達が居る。何をしているの?


調べた所、気温が高い日はそうやって羽をみんなで一斉に入り口で動かして中に風を送っているのだそうだ。空調係やね!賢いなぁ〜。




6月20日


蜂箱のお掃除。ハチ達は終始温厚に協力的に接してくれるなか、箱内に天敵スズメバチが一匹死んでいた。ニホンミツバチは敵が現れるといっせいに束になって熱を発して攻撃する。体は何倍も大きいスズメバチに1対1の対決では勝てないが、この熱束攻撃(ねつたばこうげき)なら勝てる。この必殺!熱束攻撃は、西洋ミツバチはない特性でニホンミツバチ特有のものだそう。すごい!


*ねつたば攻撃と言う言葉自体は私が勝手に作った言葉です。



7月21日


蜂箱お掃除。今度は大きめの蛾がきつね色になってお亡くなりになっていた。メンガタスズメという蛾、ハチミツが大好きなようでハチミツの香りに引き寄せられて箱に入ってしまったよう。熱束攻撃にあってしまったのね。カラフルなメンガタスズメも熱攻撃にあうとこんな色になってしまうのか。南無南無。


気温の上昇とともに、入り口の風を送る空調係のかずも増えた。

「今年は猛暑らしいぞ。お互いがんばって乗りきろう!」




8月16日 夏真っ盛り


夏の旅行から戻る。真っ先にミツバチに会いに行く。「ただいま〜会いたかった〜💓」と呼びかけながら、問題なく元気に働いている様子にあんしんする。


9月25日 残暑


夏野菜も終わりの時期、9月に入ってもまだまだ暑い日は続く。今朝は観察中、はち達がブルッと体をいっせいに震わせる瞬間を見た。何かの伝達動作なのか?


10月13日


巨大台風襲来。翌日、はち箱を見に行く。大丈夫!


午後、入り口付近で存在感のある大きめなブゥ〜ン!という羽音を立てているスズメバチ発見。あ!一匹さらわれた!スズメバチは人さらいのようにミツバチをさらって食べてしまう。オ~マイガ〜!私のお友達をさらうとは穏やかでない!すぐさま虫網を取って戻る。


スズメバチを待機、戻ってきた所で虫網ですくって退治。「私の大事なお友達をさらうとは許さんぜよ!」


*春頃から、大きめのハチ達が軒先などに巣を作らないよう虫網を持ちハチチェック作業で慣れているのでご安心を。


11月5日 実りの秋


柿やシイタケがたくさん採れる時期。大分ハチ箱の入り口が混み合ってきて数が増えたな〜。中はきっととっても混んでいるんだろうな。もうすぐ来る冬に備えてはち達は忙しそうだ。我が家もそろそろ冬支度。


12月27日 年末


12月と言えど、今年は暖冬のようで温かい。いつものようにミツバチにおはよう〜を言うつもりで近づく。


。。。。目の上にチクッ!。。。。わぁ〜〜〜!とうとうさされてしまった!


今まで、愛着沸きすぎてついつい、ネット帽子もかぶらずに油断をしてしまった。自分が悪いのだけど、君たちワタシを刺すんだ〜〜!とテンションがた落ち⬇️。😭


いやいや、君たちをさらおうとするスズメバチ退治してあげたのワタシよ。。。。。


たっちゃんには言われていた、秋から蜂は攻撃的になるからき〜つけや〜と!改て思い知る。


1月20日 柑橘の時期


大分寒いけどやはり暖冬だけに、暖かい日もある。ミツバチの箱、もう入り口にはさすがに誰もいない。中で暖をとっているのね。コンコン!とノックする。


1匹、出てきた。ごめんごめん、寒いのに。

寒いだろうから、早く中にお入り〜。





2月12日 霜の降りる日も出てきた


おかしいぞここ数日?寒いから入り口に居ないのは分かる。。。でも、羽の音がしないな。。。。???寒いとそういうもんなの?


2月26日


知り合いの養蜂師匠に相談しに行く。養蜂師匠は西洋ミツバチを養蜂している。


色々質問しつつも、師匠に改て言われる、「ニホンミツバチはとっても繊細で養蜂も難しいんよ」。。。😓


師匠に言われる。「明日多少寒くても、扉を開けて中がどういう状態か見てみんさい。」



2月27日


朝から、いやな予感。午前中、少し暖かくなるまで待ち蜂箱へ、、、、扉を開ける。


。。。。。。シ〜〜〜ン!気配が無い。


予感が当たってしまう。

居ない。居ないよ。😿

悲しい、力不足で悔しい。


そもそも養蜂なんぞおこがましいぞと思っていたからあくまで蜂達が自然の形で居られれば良く、居なくなってしまってもそれはしょうがないとたっちゃんに言われていた、、けども、、

この約10ヶ月間見守ってきた想いがあるから。。。。悲しい。。。。😿


夕方たっちゃん帰宅。

「残念でしょうがないよ。100%蜂はもう居ないだろうし、蜜も乾いてしまって無いのかもしれない。でも、ちゃんと開けて箱の中を見てみたい。彼らの10ヶ月間が入ったハチ箱を開けてみよう!」😿





2月29日

箱解体。

なんとも立派で神秘的な巣でしょう✨!本当に立派な蜂の巣を作ったんだね〜〜!


数匹ちらばって亡くなっている蜂もいた。小さくかたまって亡くなっている蜂もいた。


あ〜〜もっと私たちが色々知っていれば出来る事があっただろうに。ごめん。😿

言いながら一つ一つ丁寧に蜂の巣をはずしていった。


ゴソッと崩れた瞬間、巣の中から蜜がたら〜りとこぼれでた。え〜〜!!!!うそ!

も、もしかして、これ全部、蜜が入ってる?!


手が震えた。泣く泣く〜〜〜!!なんて子達!😿






働き蜂の一生は約40日。その中の20日間、働き蜂として飛び回り花粉を集める。

20日間毎日飛んでの総移動距離は、成田ーシカゴ間の距離に匹敵するといわれている。

そうして猛烈に働いても、一匹のミツバチが生涯かけて集めるハチミツの量は小さじ1杯程。


たっちゃんとあの子達が集めたハチミツをしぼりながら、「本当に1滴も無駄に出来ない。」と思う。

フルーティーで甘い美味しいハチミツ。なめるたびにこみ上げる。かけがえの無い10ヶ月。


あなた達と過ごした日々は私にとってスペシャルな宝物の日々。

「ありがとうはちさん。」






※妙絵さんの「里山の暮らし」コラムがよかったなと思われた方は、右下のハートマークをクリックしていただけると嬉しいです。


#里山の暮らし 

Commentaires


bottom of page