静岡県で「里山の暮らし」を営む庄子妙絵さん。ご主人「たっちゃん」やご近所さんたちとの日々の出来事をときどきコラムに綴ってくれています。今回は里山暮らしの素敵な習慣、物々交換についてです。
「た〜んと出来たもんでやるよ〜〜」とた〜んと新玉ねぎをもらったり
「たえちゃん、大根こいでくさ〜」と、どっしりした大根を抜いて持たせてくれたり
可愛らしいデイジーの鉢植え、マメの種、とろける甘さのトウモロコシ、炊きたてのお赤飯、ジューシーで甘酸っぱいプラムなどなど。。。
うちのご近所さんたちとは素敵な物々交換が四六時中行われている。裏の畑から戻ると、誰だかわからないけれど玄関にきゅうりが二つ置かれていたこともある^^。
我が家には四六時中シェアできる収穫物が常にあるわけでは無いけれど、タケノコを掘っては配ったり、食べきれないレモングラスやスナックえんどうをシェアしたり、もらった栗やカボチャをパンやマフィンに変身させて「どうぞ〜〜」とシェアしたりもする。
食べ切れないから、食べて〜とそこらじゅうで行われている物々交換。私はこの自然と行われる「物々交換」が実に素敵だなぁと思うのです。
持ってって〜と言われていただくニンジン、カボチャ、栗、さつまいも、新玉葱、柑橘などはご近所さんたちが丹誠込めて育てたモノであり、その想いも一緒に受け取ると思う。暑い日も寒い日も、私が今日は風が強いから畑仕事は辞めておこう〜なんて日も彼らは畑に出てしごとをしている事を私は知っている。そんな、一生懸命な想いがつまった美しい食材をいただく。いただいたものをベイクしよう〜!と思った時、私はどうしたら美味しくなるかをじっくりと考えて丁寧に丁寧にベイクする。そうして、今度は私の想いが乗っかり、お返しする。
「この前もらった人参をキャロットジンジャーマフィンにしてみたよ〜食べてね〜」と差し上げる。
数日後、「たえちゃん、あのにんじんのやつ美味しかったよ〜〜」と言われ、
嬉しくて、「ほんと!じゃ、またあのにんじんのやつ作るね〜〜!」となる。
さりげない物々交換には、Love & Care(ラブと相手を想う気持ち)があり、こうやってコミュニティの絆が育まれているのかな〜。。。なんて感じる。
少し前に、アメリカ・ロサンゼルスのサウスセントラルという地域で、限られた空き地スペースを使ってオーガニックガーデニングを始めたロンフィンリーという人を知った。彼は、
「種を植えることはそこにエコシステムを生み、コミュニティも生むのだよ。」
と言っている。うんうん、分かるな〜うちの集落もそうだな〜と思った。
彼のもう一つの言葉、
「Growing your own food is like printing your own money....」Ron Finley
自分の食べるものを自分で育てるということは、自らの貨幣を印刷しているような感覚だ
私はこの言葉を聞いてとても共感した。たくさん豆が出来た時、豆貯金だ!なんて思ったり、たくさんニンニクが出来た時、わ〜〜ニンニク1年分のニンニク貯金^^!!なんて思ったりする。
そして、食べ切れない分をご近所で交換しては、その度に交わされる井戸端会議で近況を報告しながらLove & Careのエクスチェンジをする。こうして、コミュニティの絆が育まれている。
私の住む集落では、季節を通して行事的なものが頻繁に行われている。春先には、里山の麓の大きな一枚岩、立石稲荷のお祭り。夏には、集落の真ん中にあるお地蔵さんのお祭り。秋には、更に広い地域全体で行われる神明宮のお祭り。春、夏、秋とお祭りが始まる前に、必ずみんなでお祭りをするお稲荷さんやお地蔵さん、神社などの周りを草刈りなどをしてキレイに掃除をする。そして、いざ、お祭りを迎える時はスッキリとした気持ちでご挨拶のお参りをする。
「去年もこの地域を守ってくれて感謝です。新しい年もどうぞよろしくお願いします。」
春のお稲荷さんのお祭りでは、一枚岩の下で、みんな集まりおでんとお酒で宴会をする。集落の長老たちも一斉に集まり、みんな赤ら顔でニコニコしながら上機嫌。私は、この光景がとても好きだな〜と思いながら嬉しくお相手をする。普段厳しいお顔でクワを片手に仕事一筋のおじいも、この時ばかりはお顔が朗らかでたくさんお話をしてくれる。
お祭りのたびに掃除がされ、集落はキレイにメンテナンスされている。日々の物々交換から、大勢集まるお祭りなどでコミュニティがしっかりと育まれている。
この集落はず〜〜と昔から脈々とこうして守られてきたのだな〜と感じる。胸が温かくなる。
里山の暮らしが昔も今もしっかりと保たれている場所には、住むひとたちの温かいLove & Careの心があるのだなぁ〜と感じるのです。
来年の春のお祭りでは我が家はおでんを作るお当番!
俄然やる気ですよ〜☆
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