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シンクロニシティープラクティス 



シンクロニシティーとは、心理学者カール・ユングが提唱した「偶然のようで偶然ではない、意味のある出来事」を意味します。日々の生活の中で実は頻繁に起きているこのような出来事は、私たちが意識を向けて上手に利用すると、人生を豊かにしてくれるガイダンスになります。注意すべきことに気づかせてくれたり、気持ちを落ち着かせるきっかけをくれたり、ときには自分が進むべき未来への道しるべを見せてくれたり。



忙しい現代人である私たちは、日常の中で自分自身との繋がりを見失いがちです。そして、自分との繋がりを感じられない状態があまりにも長く続くと、「自分のことが分からなくなる」という心の故障を体験することがあります。これは私たちの思考が「現実」と呼ばれる、目に見える世界での出来事に意識を向けて思考を使いすぎていることが原因で、ものごとを「心で感じる」習慣を忘れているからだと考えられます。



人の意識層


心理学者カール・ユングは、人の意識は、1)意識2)前無意識3)個人的無意識4)集合的無意識という、大きく分けると4つの層によって成っていると唱えました。この4つの層の中で、私たちが日常的に認識できている領域というのは、1)意識のみで、それ以外の層については積極的に「気づき」を持って注意を向けていない限りは気がつくことができない領域です。


興味深いのは、自分たちが認識できている1)意識というのは全体のほんのわずかな部分であり、実はそれ以外の2)前無意識3)個人的無意識4)集合的無意識が、多大な領域を占めているということです。つまり、私たちが認識できている「現実」というのは、意識がキャッチしているほんの一部の情報でしかないのです。



シンクロニシティープラクティスとは


シンクロニシティーに注意を向けて「意味のある偶然」が導いてくれるガイダンスに耳を傾けながら生活してみることを「シンクロニシティープラクティス」といいます。普段の日常の中で起きている何気ないこと、たとえば誰かとの会話や、なんとなく耳に入ってきた言葉や情報、気になっていること、導かれた場所、夢の内容、思い浮かぶイメージなどの中に、シンクロニシティーを見つけながら、その意味を謎解きするように考えていくものごとの見方・考え方の習慣です。



シンクロニシティーに意識を向けることが習慣化してくると、まずは自分に起きていることを客観的に捉えることができるようになっていきます。起きていることや物事に対して、良いか悪いか、ありかなしかなどの平面的な考え方をから、より立体的な考え方で物事を見つめることができるようになっていきます。たとえば、こんな感じです。



道に迷って、目的地に辿り着くのが遅れた。

 平面的な考え方⇨時間を無駄にしてしまった。遅刻しそうなストレスに精神が消耗した。

 立体的な考え方⇨こんな場所がこの辺りにあったことを知らなかった。今日あえて迷ってしまったのは何か意味があるのかもしれない。

 シンクロニシティー⇨数週間後、あるイベントに行くことになり調べてみたら、住所がこの間迷った場所だった。その辺りをウロウロした経験が、事前知識として役立った。



ずっと楽しみにしていた人気レストランでのランチ、行ってみたらなんと予約が取れていなくて食事ができなかった。

 平面的な考え方⇨かなりがっかり。事前にしっかり確認しなかった自分に腹が立つ!気が利かないレストランにも腹が立つ!一緒に行った相手に申し訳ない。

 立体的な考え方⇨まあ、仕方ない。何か意味があるのだろう。そういえば近くにもう一つ気になるレストランがあったから、そっちに行ってみよう。

 シンクロニシティー⇨レストランで、しばらく会っていなかった友人に再会した。お互いが最近取り組んでいるプロジェクトと内容ががかぶっていて、近々ミーティングして情報交換しようということになった。ネットワークが拡がってゆきそう。あの時予約が取れていなくてよかったのかも。



運転中、赤信号で停車していたら、後ろからぶつけられた。

 平面的な考え方⇨なんて運が悪いんだ。ムチウチなど体に影響が出たらどうしよう。

 立体的な考え方⇨びっくりした。今のところ体はどこも悪くなさそうだけど、急にぶつけれれたショックで心も体が驚いているみたい。ぶつけたのが自分じゃなくてよかった。

 シンクロニシティー⇨100%相手の落ち度での事故であり、そして相手がしっかりした保険に入ってくれていたこともあり、保険会社から私の体を整えるための治療費がかなりゆとりを持って出してもらえることになった。整体・鍼治療・マッサージなどに通って、身体だけでなく心も療養された。鍼灸師さんと話しているうちに代替医療に興味を持ち、薬膳を学ぶきっかけとなった。



この同僚にはいつもイライラさせられる。

 平面的な考え方⇨ストレスがもう限界寸前!

 立体的な考え方⇨この人の、一体どういうところに自分は反応しているんだろう?

 シンクロニシティー⇨そのことについて考えていくうちに、小学校の頃の苦手だった担任とこの同僚がどことなくかぶっているところがあるのに気がついた。当時の自分のやるせない気持ち、理不尽なことをさせられたことなどの古傷がうずいていることに気がついて、そのことを癒すことにした。癒しが進んだ結果、同僚の性格が変わったわけじゃないのに、以前ほど相手のことが気にならなくなってきた。



最近、やたら見かけるあの言葉。

 平面的な考え方⇨それ以上、気にならない。

 立体的な考え方⇨看板、ネット、誰かのブログなど、あちこちであの言葉について見かける。これは自分にとってどんな意味があるのかな?

 シンクロニシティー⇨仕事を介して人前で話す機会があり、その資料を作っているときにあの言葉に関することで読んだ記事やブログが役に立った。仕事とは全く関係ないところにあった情報なのに、不思議にいろんなことが繋がっていることに気がついた。



夢で見た、蝶のさなぎのイメージ。

 平面的な考え方⇨何となく気持ち悪かった。朝から気分が悪い。何か悪いことが起きるのかも。

 立体的な考え方⇨夢のアーキタイプ(元型)では、蝶は成長と変化・変身のシンボル。さなぎということは、自分の中のあのアイディアが、もうすぐ成長して蝶になっていくのかも。諦めようかと思っていたけど、もう少し続けてみよう。

 シンクロニシティー⇨そのしばらく後、長年取り組んできたことが評価されて、周りに信頼されはじめた。ビジネスとしてもしっかりと形になっていきそうな気配。自分にも自信がついてきた。悲観的にならずに続けてきたよかった。



などなど。シンクロニシティープラクティスを続けていくと、日常にはこのようなストーリーが溢れていることに気がつきます。ある程度の期間続けていくことでこの考え方が自分の中で成長し、さらに深いシンクロニシティーを呼び込みながら人生が以前よりも軽やかに進んでゆくようにもなっていきます。




人の世界観は、その人のものの見方や考え方によって作れています。起きたことをどう捉えるかは本人次第なので、ものごとをより深くみるスキルを持っている人は、何かが起きた時にそれをニュートラルに捉えて立体的な意味を見出していくことができます。このスキルを身につける練習がシンクロニシティープラクティスです。平面的な見方をやめてみると、日常は何気ないマジック(魔法)に溢れているのだということに、気がつくことができます。


自分が理解していると思っている現実の、ほんの少しだけ違う次元にある情報にアクセスすること。この方法を学んでゆくと、自分の内面世界がどんどん充実し、内側から輝くしなやかさを身につけることができるようにもなっていきます。下記のような質問を自分に問いかけながら、日々の生活ので出来事に目を向けてみてください。


・最近気になっていることはなんですか?


・不思議または気分の悪い夢を見て目覚めた日、その夢の内容を覚えていますか?


・偶然のような小さなミラクルが起きて、物事がスムーズに進んだのはいつですか?


・ふと思いついたことに従って予定外の行動をしてみたら、意外とすごくうまく行ったことが最近ありましたか?


・「トキメキ」「よろこび」「キラキラ」の感情に触れたのは、どんな時ですか?


・自分が幸運だと感じたり、感謝の気持ちでいっぱいになったのは、どんな時ですか?



感じたことをノートに書き出して、自分のシンクロニシティーを見つけていきましょう。





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