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トランスパーソナル心理学的、自己肯定感



自分のことを信じることができる人。

無理やりポジティブ思考ではなく、自分自身に心地よく寄り添うことが自然とできる人。


そんな自己肯定感が高い人になれたら、生きる経験が変化してくるような気がします。


自己肯定感については、書籍でもネットでもたくさんの情報がありますが、自分はトランスパーソナル心理学の専門家として、「トランスパーソナル心理学的な自己肯定感の高め方」について考えてみたいと思います。



トランスパーソナルって?

まず最初に、トランスパーソナル心理学とは、アブラハム・モズローやカール・ロジャースの人間性心理学がスピリチュアルな方向に発展した現代心理学で、肉体的体験を超えた死後の世界や潜在意識、ユングが唱えていた集団的無意識などを含めた、スピリチュアル的そして哲学的な要素の強い心理学の分野です。特定の宗教観を優先するものではなく、あくまで学問としてのスピリチュアリティ・心理哲学であることがポイントです。


代表的な心理学者はロベルト・アサジオリですが、彼はトランスパーソナルセルフ(別名ハイヤーセルフ)の存在を唱えて、個人には肉体的な意識とは別に、もっと波動の高い意識があると提唱しました。スピリチュアルな人なら、ハイヤーセルフという言葉は聞いたことがあるかと思いますが、アサジオリは、心理学的・哲学的な見地から学問としてのハイヤーセルフを定義しています。


下記は、アサジオリの「Egg Diagram」(人の意識層を卵形の表で表したもの)です。

アサジオリは「サイコシンセシス」という手法でパーソナリティ理論を述べています。サイコシンセスは、トランスパーソナル心理学を実践的に使ってゆく手法として知られていますが、今日はその中でも、個人の自己肯定感と関係していると思う「ハイヤーセルフの役割」についてみてゆきます。



ハイヤーセルフって?

ハイヤーセルフとは、アサジオリの解釈を簡略すると、自分の意識の一部でありながらも、最も高次のレベルにある自分のエネルギーです。ハイヤー(より高い)セルフ(自分自身)なので、そういうことなのですよね。


また、私が専門的に取り組んでいるヒプノセラピー 「中間世セラピー(Life Between Lives)」のパイオニアであるマイケル・ニュートンも、ハイヤーセルフはわたしたちの魂がスピリチュアルな世界(魂のホームランド)に残してきた自分の一部であり、地上で肉体の中にいる自分自身と常につながっている波動の高い自分の魂の一部である、と唱えています。


ハイヤーセルフって、実は自分の一部なのですね。


私たちは、自分で気がついていない場合がほとんどかもしれませんが、実はハイヤーセルフを通してものすごく高い位置から物事を見ることができたり、肉体の自分が認識できていること以上の知恵や情報を、集合的無意識(スピ系の人たちにはアカシックレコードと呼ばれることもあります)から得ています。


でも、肉体の自分の意識(ハイヤーではない方のセルフ)は、そんなことはすっかり忘れていて、肉体の意識を通して見てるもの、考えること、感じることが全てだと捉え、自分がもっと大きな情報や宇宙的なサポートとつながっていることを感じられなくなっています。


自分のハイヤーセルフの存在を忘れてしまっている状態。それはたとえば、ゲームの世界で、スーパーマリオが(たとえが古くてすみません)プレーヤーであるあなたの操作や導きの理由を全く理解せずに、画面の中で自分勝手に進んで行こうとしているようなもの、かもしれません。画面の外から大きな視点で見ることができるプレーヤーのあなたは、どこに何があってどう進むべばゴールにたどり着くのかを知っています。ジャンプするタイミングや、キノコやコインをゲットしたりパワーアップできる場所も知っているので、その場所へと導こうとしています。でも、もし画面の中のマリオがその導きを信じることができずに、なんでここでブロックをパンチしなくちゃいけないのとか、この土管の中に入りたくないよと暴れたりしたならばゲームが思うように進まなくなってしまうでしょう。ハイヤーセルフの存在を忘れていたり、それを信じることができないというのはそんな状態と似ているかもしれません。


人生で迷子になっているときの私たちは、まるで自分勝手になった画面の中のマリオです。ゲームの本当の目的をわあすれて、地上での欲望やエゴ、サバイバルの体験に夢中になってしまうこともあります。また、自分以外の他人に存在に苦しめられたり憎んだり嫉妬したり依存したりすることにエネルギーを注いでいることもあるかもしれません。


本来、他人の存在は自分の鏡、またはインスピレーションをギブアンドテイクしたり、学び合ったり協力し合う仲間として、肉体での体験をより色濃くするために存在しているわけなのですが、ハイヤーセルフとの繋がりを感じられなくなった私たちは、そのことを忘れてしまいます。


そんな地上の私たちに、わたしたちのハイヤーセルフは「いやいや、そういう体験もいいけど、でもね、もっと高い視点で人生を体験してゆくこともできるよ!」と、常にメッセージを送ってくれているようです。そしてこの人生の体験は、マリオとプレーヤーの両方が存在しなければ体験できないように、ハイヤーセルフと肉体の自分が「コラボレーション」して進めてゆくものなのです。


トランスパーソナル心理学的な自己肯定感の上げ方とは、この「コラボレーション」を理解することだと思います。ハイヤーセルフの導きをもっと信じて、肉体の自分が「行動」しながら進んでゆくこと。



「自分は大丈夫」という感覚

もともと自己肯定感が高い人たちは、「根拠のない揺るぎない自信」を持っていることが多いのですが、そこには「自分は大丈夫」という、言葉では説明できない絶対的な大丈夫感覚が備わっていたりします。育つ過程で両親や大人たちに愛情を持って肯定的に扱われてきた結果だと考える場合が多いのですが、そうでなくても、たとえば恵まれない家庭に育ち孤児院で過ごしていた時期もある自己啓発で有名なウェイン・ダイヤーのような人も、子供の頃から「自分は常に大丈夫だ。」という、大きな力にサポートされているという確信感があったと話していたりします。


自分は絶対に大丈夫。その感覚は、育った環境とは別に「ハイヤーセルフとの強いつながりを感じているかどうか」が関係しているのではと考えてみます。自分の存在には絶対的な意味があり、目的があり、そしてそれが肯定するされている。Oshoのタロットカードの「Existance(存在)」のように、ありのままで、裸でそこにいるだけで宇宙に必要とされているという肯定的な感覚です。これは、ハイヤーセルフとの繋がりからやってくる自己肯定感だと感じます。

ちなみに、Osho カードのExistance (存在)」とはこんなカードです。

”あなたが存在するのは決して偶然ではない

「存在」があなたを必要としているのだ

あなたなしでは必要なものが欠けてしまい

他の誰もあなたの代わりにはならない”


人によってはハイヤーセルフ的なエネルギーの存在を「宇宙」と呼ぶ人もいますし、「神様」と呼ぶこともあるでしょう。

特定の宗教を信仰することで、大きな力との繋がりを追い求めようとすることも、そういうことなのかもしれないと考えたりもします。悟りをひらいた人は「神は常にあなたと共にあります」と言ったりしますが、それは、私たちのハイヤーセルフが自分を通して大きな存在とつながっている、ということなのかなと考えたりもします。


私たちは、人生で迷ったときには「大きな力との繋がりや愛、サポートを感じられる方法」を探して「そのことを思い出す」体験をしたくなります。それが占いやサイキックからの言葉であったり、宗教的なことに頼ったりしたくなるかもしれません。または自然の中で感じるエネルギーであるかもしれませんし、遠くを旅をしながらその「声」を探そうとする人もいれば、サイレントリトリート やヨガなどで内なる静寂さを取り戻して「つながり」を再確認しようとすることもあるでしょう。


自分の中にはいつでも自分よりも大きなエネルギーとつながる機能が備わっています。方法はどうであれ、つながろうと思えば繋がりを感じることができるわけです。それってすごいことだなと感じます。自分なりの方法でいろんなことを試して、そしてそれを再確認しているのです。



でもここで、注意しておきたいのが「バランス感覚」についてです。たとえば、アサジオリは、「ハイヤーセルフのことを地に足のついた形で捉えていないととても危険なのだ」とも唱えています。意識が内側に向かいすぎたり、至高体験やスピリチュアルなエネルギーにばかり意識を向けていると肉体での体験が困難になってしまうことがあります。どんな状況においても、偏りすぎることはさまざまな困難を生み出してしまうのです。


上記の表、”Egg Diagram”にあるように、私たちは「異なる様々な意識・無意識層」を持ち合わせています。人間である自分には「いろんな側面」があるものです。私たち一人一人の意識は、単純ではなく複雑な要素も含んでいることを認識した上で、ハイヤーセルフとの繋がりを感じること。そして、これはアサジオリの哲学で最も大切なことだと言われているのですが、どんなことにも「意思と目的」をもって人生を謳歌することが、アサジオリの唱えるトランスパーソナル的な生き方のすすめです。



ハイヤーセルフとのコラボの仕方

今この瞬間のマエストロ、エックハルト・トールも「大いなる力」という言葉でハイヤーセルフのことを書いていますが、彼の「自分のエゴを認識しつつも、それを観察して否定せずに、そして振り回されずに距離を置いて物事を見つめること」という教えは、まさにハイヤーセルフと肉体の自分がコラボレーションした視点で人生を体験してゆくことかなと思います。


なかなか高度なワザだと思うのですが、それを一生かけてプラクティスしてゆくことが、ある意味トランスパーソナル的な生き方だと思います。

具体的に、ハイヤーセルフを意識する方法としては、わかりやすいものだと「直観やひらめき」といったことを通して感じることができます。「理由はわからないけど、なんとなくわかること」という、論理的には説明のできない形で降りてくる感覚を信じて行動に移してみることは、まさにハイヤーセルフとのコラボレーションです。直観やひらめきを意識し始めると、ユングが唱えた「シンクロニシティー(偶然のように見える必然」を日常的に感じることができるようになってきたり、その考えが「直観なのか、それともエゴからくるものなのか」の違いがなんとなくわかるようになってきたりするようです。


もちろん、直感やひらめき以外にも「論理的に考えて分析する力」を備えている私たちは、そのスキルをきちんと使いつつ人生を体験してゆく必要があるのですが、それと同じような感覚で、直感やひらめきも活用してゆくことがトランスパーソナル的なライフスタイルです。


メディテーションを通してハイヤーセルフと繋がりやすくする方法もあります。メディテーションをすることで、私たちは忙しく動き続ける思考を穏やかにすることができます。深いメディテーションを通して、スーパーコンシャスと呼ばれる意識層に到達してトランス状態を体験することもあります。そうでなくても、マインドフルネス瞑想などの「ただ思考や感情を観察する」ことや思考の穏やかさを体験するだけでも、普段の忙しい意識でいるよりもはるかにハイヤーセルフの視点から人生を観察することができたりもします。


穏やかな気持ちでいるとハイヤーセルフとの繋がりを肯定的に受け入れることができますので、セロトニンを分泌するためにウォーキングをしたりお風呂に使ったりなど、考えすぎずにリラックスできる活動をしてみるのもいいかもしれません。人によってはシャワーを浴びている時に「ひらめき」のような言葉や考えが降りてきたり、車を運転している時に「何かに気が付く」ということが起きたりもします。


自然の中で静かな時間を過ごすことも、とても強力な方法です。キャンプしたりハイキングしたりなど時間を作って自然の中に出かけていくことはもちろん、市街地にいても木々が多い場所や、緑や水辺のそばに出向いてみるだけでも十分に効果的です。自然のエネルギーには私たちの意識を整えてセンタリングしてくれる作用があります。自然の中でリラックスしている状態では、ハイヤーセルフからのメッセージが自分に届きやすくなります。



この体験には意味がある

起きたことに対して「これには何か私には分かっていない意味があるのかもしれない」と捉えるのも、ハイヤーセルフの存在を意識した上での、地上の自分ができる考え方です。

もちろん、日頃から何でもかんでも「これには意味があるのかも」なんていう考え方はちょっとめんどくさかったりしますが、時々やってくる「え?なんで???どうしうて???」というようなショックな出来事には、この考え方がとても有効だと感じます。なぜなら、そういう「え??なんで???どうして???」という出来事には、絶対にあとでわかる意味があったりしますから。

ハイヤーセルフの意識は私たちが普段意識している肉体の「セルフ」の意識よりも高い位置にあり、地上の論理では説明できない形で、自分にベストなタイミングを運んでくれたり、素晴らしい出会いを運んできたり、危険を知らせてくれたりなど、あらゆる形で無意識にでも私たちとコラボしています。


人生の中で、ネガティブで辛い体験をしたとして、ハイヤーセルフの視点からすると実はそこにはちゃんと用意された理由があり、その先のストーリーがあるわけです。そのことを、たとえ辛くてもなんとなく信じることができる人は、トランスパーソナル的な自己肯定感の高い人なのだと感じます。


たとえ私たちが否定しようとも無視しようとも、「つながっている自分の一部」なのでずっと一緒です。辛いチャレンジから意味を見出したり、心を整えたり、「気づき」を得たりという作業は、ハイヤーセルフの導きがあったとしても、結局は地上の自分がしてゆく作業であり、そして、それは決して簡単ではないのですが、でもそれでも自分にはいつも高い視点からの導きがあるから大丈夫だ!と思えるのと、そうでないのとでは、人生の体験が全く違ってくるのではないでしょうか。


今日も長い記事を最後まで読んでくださった方、ありがとうございます⭐︎


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