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バーンアウト(燃え尽き症候群)




この数ヶ月間、忙しいのにやる気が出なくて困っているという状況が続いていて、少し前に友人で、バーンアウトを専門にしているアメリカ人カウンセラーとお喋りしていた時に、「あなた、それ典型的なバーンアウト予備軍でしょう。」と言われて、ハッとなりました。久しぶりに、ただつらつらと近況報告し合っていた時だったのですが、彼女のその言葉で、「ああそうだったのか。」と、私の中でストンと府に落ちました。


バーンアウトとは、燃え尽き症候群のことです。仕事や自分の役割に一生懸命になりすぎて、オンとオフが上手に使い分けできなくなってきた時に起こりやすくなると言われています。


会社員によくありそうと思われがちですが、主婦や子育て、介護をしている人などにも起こりやすく、その理由は、自分の役割に一生懸命になりすぎて、「自分軸」で過ごす時間が少なくなった時にバランスが崩れてしまうことが主な原因でないかと考えられます。


なりやすい人とそうでない人がいて、たとえ同じような状況にいてもバーンアウトせずに乗り切る人もいます。そういう人たちは、おそらくどこかで「自分軸」の時間を失わずに、自分のニーズを満たしたり必要な息抜きを用意することができているようです。


生真面目な性格の人は、自分のニーズを後回しにして自分を追い込みすぎたり、または必要以上に頑張りすぎたり、もしくは他人に上手に助けを求めることができなかったりする傾向があります。そうやって自分を知らず知らずにうちに消耗させ続けていると、やがては感情的にも肉体的にも疲労してしまいます。自分のキャパの限界を超えてしまうとそれを自覚する機能も鈍くなり、最終的には自分を上手に表現できなくなって、ある時突然キレてしまったり、または塞ぎ込んでしまう、というようなことが起きてしまいます。それが燃え尽き症候群です。


性別で言うと、男性よりも女性に多く起きやすいとも言われています。それは、女性はもともと感情的に消耗しやすい傾向があるだけでなく、本能的に自分軸よりも他人軸で物事を進めしまうことが多いからかもしれません。


また、バーンアウトは「それが起きるきっかけ」のような出来事があると考えられています。たとえば、仕事などの自分の役割で忙しさが続いていっぱいいっぱいになっていた時に、「別の何か」が起きたことが要因となって自分自身が完全にオーバーロードし、一気に機能できなくなってしまう、というような感じです。


それは、空気が満杯の風船に、外から小さな異物が当たったことによって、風船が「バン!」と弾けてしまうような感じです。空気が満杯でなければ大したことにはならなかったかもしれませんが、もうすでに弾けそうだった時に外的要因の何かが起きたことによって、一気に破れてしまいます。日頃から空気を抜いたり、満杯にならないような働き方やライフスタイルを選んだりするなどの、本人の意思や自己管理能力ががとても重要です。


ちなみに、私自身は全くもって生真面目な方ではありませんが、今年はパンデミックが起きたことで、上手に息抜きができなくなっていたことが予想以上に負荷になっているのかなと感じます。あくまで予備軍ですので、症状としては、なんとなくやる気が起きない、情緒的に鈍くなっている(何かと感動しやすい自分が感動しない)、ぼんやりしてしまう、出かけることにワクワクしない、などですが、好きなことを仕事にさせてもらっているのに、ふとやる気が起きなくなったり、特に英語でのセッションに対しては気持ちが上がらなかったりなどして、「あれ、私どうしたのかな?」という感じでした。以前は、ヒプノセラピーという、言葉が非常に重要なセッションを、ネイティブではない私の英語力でも申し込んでくださる方に、感謝の気持ちでいっぱいでセッションさせていただいていたのに。自分の状態にこのまま気が付かずにいたら、やがては本当にバーンアウトしてしまい、いろんなことへの情熱ややる気を回復させるのに時間がかかっていたかもと思うと、偶然にも友人に警告してもらえてよかったです、本当に。


そんなわけで、友人からバーンアウト予備軍向けのセッションをしてもらい、とにかくたくさん眠り、自分軸時間をたくさん作ってセルフケアをし、今週からようやく復活してきた感じがしています。こういう時、メンタルヘルス関係の人たちに囲まれていることは、本当にありがたい。


私だけでなく、今年は多くの方が似たような状況の中にいらっしゃるのではないかと感じます。特に海外で暮らしていらっしゃる方は、自分で気がついている以上に心身的なストレスが多い年です。海外で暮らすということは語学力のレベルがどうであれ、やはり何かと不自由な面も多いですし、パンデミックのような先行き不透明な状況だと、ただただストレスが増してしまいますよね。


また、海外在住の方はもともと状況に対する適応能力が磨かれている方が多く(そうでなければ、短期滞在はできても長期で暮らせない)、今回のパンデミックで世の中が「ニューノーマル」と呼ばれるパンデミック仕様に変化した時も、早めに意識を切り替えて適応できた方が多いのではないかと思います。でも、だからこそ見落としがちなのが、そこで生じている心身的ストレスです。素早く適応できない人々が、「マスクが嫌だとか、行きたいとこに行けないのが嫌だ」とかゴネて自己表現している間、お利口さんに素早く切り替えることができた適応能力の高い人々は、我慢を強いられていることを無意識に抑えていることもあり、溜まっている自分のモヤモヤやイライラの原因に気が付かないこともあるかもしれません。


「みんな我慢を強いられているんだから」と思って、自分のニーズを後回しにしてきた方は、ここでいったん、自分を甘やかしてあげる時間を作ってみるのも、決して無駄でないのではと思います。バーンアウトしない人たちは、上手に「自分軸」の時間をあなたの知らないところでちゃんと作っているようですよ。


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