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癒やさないと始まらないこと



赤ちゃんとしてまっさらな状態でこの世界に生まれてきて、成長の過程で色々なことを体験し、そしてさまざまな学びの中で「傷つくこと」を経験する私たちです。人は皆、大小問わずいくつもの傷を抱えているものですが、その傷を意味のある経験として人生の糧にしてゆくためには、しっかりと癒す作業がとても重要なのです。


癒しとは、考えることであり語ることであり、感情を見つめることであり、そして自分と対話することで起きてゆきます。まず最初のステップは、傷があることを理解すること。心の中でずっと引っかかっていることや、思い出したくないのに思い出してしまうと気分が下がってしまう過去の記憶など、現在の自分が前進することを妨げていると思えることがあれば、それは心の傷が原因となっていることが多いのです。


「手放す」ことが一番なのですが、手放すためには、やはり癒しの作業が必要なのです。まずは自分の中に傷ついている部分があるのだと理解することが、まず最初のステップです。


心の傷があることを理解したら、次のステップでは、その傷を癒すために向き合うと決める姿勢を整えます。「もっと大変なことを体験している人に比べたら、自分のこんな傷はたいしたこと無いはず」などの、他人と比較する物差しで自分の傷を測るのはやめます。自分の心の傷は、他人のそれとは比較することはできません。引っ掛かっているのであれば、それは自分にとって重要なことなのです。もっと自分を大切にしてゆくために、そして自由になるために、傷を癒すために向き合う姿勢を決めましょう。


また、「大昔のことをずっとひきづっている自分がイヤだ」などと、自分をジャッジするのもやめなければいけません。ジャッジすることは、感情を抑制し傷をさらに深めることになりかねませんから。時間は過ぎ去るものですが、過去に起きたことが現在の自分を重たい気持ちにするのであれば、それは今現在に起きていることと変わりはないのです。傷を癒すために向き合うのに一番いいのは、それに気がついた瞬間に決心して行動に移すことです。若いときの自分がどうしたらいいか分からなかったその傷を、今の自分なら癒してあげることができるのですから。


そして、「罪悪感」や「恥ずかしい気持ち」「自分をガードする鎧」を緩める覚悟もしなければなりません。癒しの旅は自分の弱さや隠したい部分と向き合う作業でもあります。誰でも尻込みしたくなる面倒な作業なわけですが、でもその作業をしてゆく過程では、必ずと言っていいほど、新しい自分の強さを発見することになります。心の傷は放っておいたら痛みのままですが、向かい合って癒す作業に取り組んでゆくと、やがてその傷が「もっと強くて自由な自分になるため」のきっかけだったことに気づくことができるのです。


それなりに時間もかかるし、何か一つの方法で解決することでもありませんが、自分に合った方法を散策しながらいろんなことを試して癒す作業に取り組んでみることは、人生を豊かにするためにやってみる価値があることだと信じています。



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