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過去の自分と未来の自分



今日は意識の時間の在り方について、書いてみようと思います。



意識の時間は一定のスピードではない


時間の流れは、実は決して一定ではないと感じたことはありませんか?楽しくないことをしているときには時間がなかなか進まないように感じるのに、逆に楽しいことをしているときは驚くほど早くすぎるという、あの不思議な感覚です。


物理的には、時計の針は正確に1秒ごとに進んでいます。でも私たちの意識の中では、時間は速くなったり遅くなったりと、そのペースは決して一定ではありません。


たとえば、約束に遅れてくる友人を待っている時には、数分おきに時計を見てしまいます。でも、自分が何かに夢中になっているときには、数時間が一瞬で過ぎたように感じることもあります。火曜日は一日が長く感じたのに、木曜日はあっという間だった、なんてこともあるでしょう。


では、なぜこんな風に感じるのでしょうか?それには、心理学的な理由や生理的な理由が関係しています。たとえば、感情の影響です。ポジティブな感情、つまり楽しいことや幸せを感じているとき、時間が速く過ぎていくと感じることが多いと言われています。これは、脳がその瞬間に完全に集中していて、外の世界の時間よりもその体験自体に没頭しているからだそうです。


一方で、ネガティブな感情を感じているとき、時間が遅く感じられることが多いです。退屈なときは時間が長く感じますし、悲しい時はその時間が永遠に続くように思えることもあります。これは、意識が自分の体験に没頭するよりも時間の経過に注意を向けているからだそうです。時間の経過に注意を向ければ向けるほど、私たちの意識は時間の経過をゆっくりと感じてしまうそうです。


また、危険な状況に置かれたときに時間が止まったかのように感じることもあります。よく、生死の危険を感じるような瞬間に起きる、全てがスローモーションになるようなあの体験です。これは危険を察知した脳が非常に速いスピードで情報を処理して危険を回避しようとしているため、意識レベルではその情報量の密度の濃さから時間がスローモーションのように感じるからだそうです。


さらには、新しい体験をしているときの時間の流れにも似たような現象が起きます。たとえば、旅行の初日は1日が特別に長く感じることが多いですが、それは新しい環境に適応しようと、脳がたくさんの情報を探っているからだそうです。でも、環境に慣れてしまうと脳の情報収集も穏やかになり、意識の時間はそのスピードを早めていきます。ですから、旅行の最終日などはとくにあっという間に過ぎたように感じるようです。


このように、私たちの意識の中の時間は心理学や生理学的な要因が複雑に関わり合うことで、まるで伸びたり縮んだりするかのように速度が変化します。数字で測ることのできない「時間の流れ方」が、意識の中には存在しています。



過去に時間と未来の時間


さて、時間について考える時にもう一つ面白いのが、「過去」「現在」「未来」という三つの異なる次元です。


物理的な時間の流れでは、過去・現在・未来は直線的に並んでいます。でも実は、私たちの意識の中では必ずしもそうではありません。過去、現在、未来は、意識の中で常に絡み合い、そして同時にも存在しています。


つまりそれがどういうことかというと、物理的には、私たちは「今この瞬間」にしか存在できません。肉体を持ってタイムトラベルで過去や未来に移動することは現在の科学的ではできないと言われています。


でも、意識の中ではどうでしょう?私たちは過去を思い返したり、未来を想像したりしながら、今この瞬間の中で生きています。何か嫌なことがあった時には、今ここにいながらも、すでに過去になったそのことを引きずって思い出します。また、未来についても、今ここにいながら、まだ起きていない将来のことを考えてワクワクしたり、または心配することもあります。こんなふうに、意識の中では過去と未来が、現在という今この瞬間の中で同時に存在することができるのです。


詩人であり思想家のラルフ・ワルド・エマーソンは、


異なる精神にとっては、同じ世界が地獄でもあり、天国でもある。すべての歴史は主観的になる。言い換えれば、正しくは歴史は存在しない。あるのはただ伝記だけだ。

と言いました。


過去を振り返る時、私たちは自分の視点を通してだけそれを見ています。そして何度も思い出すことで、実際に何が起こったのかがわからなくなるほど、思い返すたびに感情が足されて歪むこともあります。また、その場に一緒にいて同じ出来事を体験した他の人にとっても、皆がそれぞれの視点から回想するわけなので、全員が100%同じ体験を思い出しているわけではありません。過去の出来事というのはそれだけ曖昧で、流動的なものです。


未来についても同じことが言えます。たとえば、あなたは未来とは、どこか遠いところにある別の世界のように感じていませんか?


正確にいうと、身体が軸を置いている今この瞬間を起点にして、一瞬先が未来ということになります。この瞬間も1秒経てば過去になり、またこの瞬間も過去になり・・・・と、未来はやってきては過ぎ去っていくものです。未来を想像してワクワクしたりまたは不安になったりする時、私たちは未来という世界が独立した別の場所にあるかように考える傾向がありますが、でも実際には、どこか遠くにあるものではなくて、やってきては過ぎ去っていく、その一瞬一瞬に存在しているのが未来です。


今この瞬間の自分の意思や思い、決断が一瞬先の未来を決めていて、それが積み重なって方向性が整っていくのが未来です。ですから、意識の時間の中では、今この瞬間の意識の中にも、いつも過去と未来のかけらが常に存在しているのです。



意識のタイムトラベルワーク


ここで、ちょっとした意識と心のエクササイズを提案したいと思います。過去の自分と未来の自分について考えるいくつかの質問に答えてみてください。紙とペンを用意して、書き出してみると、より深く考えることができると思います!


まずは未来についての質問です。


  1. あなたが思い描く理想の未来の自分はどんな状態でしょうか?自分の雰囲気、ライフスタイル、キャリア、人間関係、住環境などを思い浮かべてみてください。


  2. 健康面や経済的な制約が全くないとしたら、どんな生き方をしてみたいですか?


  3. どんな人たちとどんな環境で暮らしていきたいですか?


  4. 自分の長所や才能をどのように社会や人々に貢献したいと思いますか?




次に、過去についての質問です。静かでリラックスできる場所で、目を閉じて考えてみてから、書き出してください。


  1. もし変えられるなら変えたいと思う過去の苦い思い出はありますか?それはどんな体験ですか?


  2. 過去の自分に、今の自分が励ましの言葉を送るとしたら、どんな言葉をかけますか?


  3. 今の自分が持っている考え方で、過去の自分が知らなかったことや、新しいやり方は何でしょうか?



いかがでしょうか?意識のタイムトラベルを体験できたでしょうか?


私たちの意識の中の時間は、物理的な時間とは少し違った法則で流れています。過去と未来のかけらが今の自分の中に常に存在していて、時には自分に問いかけることで、意識の中で過去や未来を旅することができます。


タイムトラベルができたら歴史が変わる、なんて話をよく耳にしますが、私たちも意識の中でのタイムトラベルを通じて、自分の歴史や未来の方向性を変えていくことができます。


ぜひ、皆さんも意識のタイムトラベルを試してみてください。過去や未来に思いを巡らせて、自分らしい人生をつくっていけるといいなと願っています。

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